皆さん、こんにちは!あきしのこころのクリニックの秋篠です。
今回は社交不安障害(社交不安症)について説明させていただきたいと思います。
『社交不安障害』という名称については、
「なんとなく聞いたことあるけど良く分からない」
「??」「何の病気かな」
と思われる方が多いのではないでしょうか。
確かに、この名称自体はパニック障害ほど認知されていない印象も受けます。
実際当院の外来には、
“あがり症” ”赤面症” ”対人恐怖症“ 等という形で多くの方が来院されており、お困りになっている方が多い病気です。
それではさっそく、社交不安障害がどのような病気であるか説明をしていきたいと思います。
社交不安障害とは不安障害の一つで、
人前で極度に不安・恐怖を感じ、日常生活に支障の出る病気です。
社交不安障害の患者さんは日本の調査では100万人以上とも言われており、 珍しい病気ではありません。
ただし、周囲に相談しても“気の持ちよう” “気にしすぎ” “みんな同じだよ” 等と言われ
そのつらさを理解してもらえず、本人も自身の性格の問題と思い、医療機関の受診に至らず、
受診に至ったとしても受診までに時間のかかることも多いです。
近年、社交不安障害は適切な治療をすることで症状が良くなることが分かっています。
社交不安障害は下記のような状況で
不安、恐怖だけでなく、
動悸、赤面、手や声の震え、発汗、息苦しさ、嘔気、口渇、めまい等の体の症状も認められることがあり、
苦痛が強く、時に回避し、日常生活に支障が認められます。
<状況>
・人前での発表、発言
・人との接触、会話
・視線の多い状況(人ごみ、教室、会議)
・人前での書字
・人前での食事
・人前での電話
・周囲に人のいる状況でのトイレ(用足し)
また、下記のように苦手な状況は人によってそれぞれ異なることもあります。
・初対面が苦手な人⇔顔見知りが苦手な人
・1対1が苦手な人⇔集団で注目されることが苦手な人
・同年代が苦手な人⇔年上が苦手な人
脳内の神経伝達物質のバランスの乱れ、特に不安、恐怖を和らげるセロトニンという神経伝達物質の低下が考えられます。
また、不安を感じやすい体質、これまで過ごしてきた環境が影響するとも言われています。
社交不安障害では、苦手な状況を回避する傾向にあり、生活の行動範囲が狭くなります。
そのため、学業、就職活動、仕事、プライベートで本来の本人の力を発揮することできず、極端な場合は引きこもりになることもあります。
また、社交不安障害は、うつ病、パニック障害、アルコール依存症等の他の病気を合併することも多く、早めの対処により、それぞれの病気の重症化を防ぐことが大切と考えられます。
社交不安障害の治療は、前回のパニック障害同様、薬物療法、精神療法(行動療法・心理教育)が中心となります。
・薬物療法では、脳の伝達物質のアンバランスさを整えるために、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、抗不安薬、β遮断薬を使用します。
・行動療法では、不安を感じる状況になれる訓練を行い、避けてきた状況を克服、不安を軽減し、行動範囲を広げていきます。
・薬物療法、精神療法それぞれ単体でももちろん効果を期待することができますが、併用することでより効果を発揮することができます。
・受診については、人前に出ることが苦手な人もおられるため、友人、パートナー、家族と一緒に受診することも良いかもしれません。
今回は社交不安障害について説明させていただきました。
“赤面、あがり症で困っている”
”スピーチ・面接・会話が苦手だ“
”人前での書字・食事・電話で緊張する“
等で悩んでおられる方は、「あきしのこころのクリニック」までお気軽にご相談ください。
著者:あきしのこころのクリニック 院長 秋篠 雄哉