こんにちは!あきしのこころのクリニックの秋篠です。
今回はパニック障害について説明させていただきたいと思います。
“パニック”という言葉は、“思いがけない事態に直面した時の混乱状態”という意味で日常生活に広く浸透しておりよく使われていますが、
パニックを起こすこと=パニック障害ではありません。
・脳の神経伝達物質のアンバランスさがもたらす脳の病気で
・100人に1人と、誰もがかかる可能性があり
・放っておくと“うつ状態” “ひきこもり”を伴うこともある
・しっかりと治療を行っていく必要がある病気です。
それではさっそく、パニック障害がどのような病気であるか説明をしていきたいと思います。
パニック障害とは不安障害の一つで、激しいパニック発作に突然襲われ、さらに、発作がまた起きるのではないかと不安になる病気です。
即ち、
【 パニック障害 】=【 パニック発作 】
+
発作が起こるのではないかという【 予期不安 】
というように説明することができます。
また、パニック発作を経験した状況、場所が怖くなる“広場恐怖”という症状が認められるようになることも多いです。
パニック発作とは、突然、動悸、息切れ、めまい、激しい不安等の症状が認められる発作です。
発作の際、“このまま死んでしまうかもしれない” “気が変になってしまうかもしれない”
という感覚、不安が認められることもあり、あまりの不安より救急車を要請される方もおられるほどです。
ただし、実際にパニック発作で死ぬことはなく、10分程で激しい症状は治まり、30分から1時間で症状はほぼ消失するので安心してください。
※パニック発作の症状には以下のような症状があります。
・心臓のどきどき(動悸、心拍数増加)
・息苦しさ、息切れ
・窒息しそうな感覚(のどに何か詰まっている)
・胸痛、胸部不快感
・嘔気、腹部不快感
・体の異常感覚(ジンジン、びりびり等)
・発汗
・体の震え
・寒気や体の熱っぽさ
・めまい、ふらつき、気の遠くなるような感覚
・現実ではないような感覚、自分が自分でないような感覚
・死んでしまうかもしれないという不安
・気がくるってしまうのではないかという不安
予期不安とは、パニック発作を繰り返すことにより二次的に生じる、“また発作が起きるのではないか”という不安です。
パニック発作を繰り返すことにより予期不安は強くなります。
また、パニック発作は時間とともに治まりますが、予期不安はパニック発作以外の時間に広く認められるため、
日常生活の大きな妨げとなってしまいます。
ひどい場合には、予期不安に悩まされ、うつ状態に陥ってしまうこともあります。
広場恐怖とは、パニック発作が生じた状況、場所に対する恐怖です。
広場恐怖で問題となるのは、その恐怖より、パニック発作が起ったら逃げだせない、
助けを呼べないような状況、場所を避ける回避行動が認められるようになることです。
例えば、電車に乗っていた時にパニック発作が起きてしまうと、電車でパニック発作が起きるのではないかという恐怖が認められ、電車に乗ることができないようになることがあります。
回避行動は
・車、バス等の公共の乗り物
・高速道路、渋滞、トンネルでの運転
・地下街、雑踏
・講義、会議、映画館
・歯医者、美容院、エステ、まつ毛エクステ
等で認められることが多いです。
広場恐怖による回避行動により生活の行動範囲が狭くなり、極端な場合は引きこもりになることもあります。
パニック障害の治療は、薬物療法、行動療法が中心となります。
・薬物療法では、脳の伝達物質のアンバランスさを整えるために、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や抗不安薬を使用します。
・行動療法では、予期不安や広場恐怖を感じる状況に慣れて、回避行動を克服し、行動できる範囲を徐々に広げていきます。
パニック障害は、不眠、ストレス、カフェイン、アルコール、たばこ等で悪化することがあるため、これらを出来る限り取り除いた規則正しい生活を心がけることが大切です。
パニック障害は以前説明させていただいた自律神経失調症(ドクターインタビューvol.17)同様、身体の病気(身体疾患)の除外が原則です。
そのため、パニック障害かなと思われた場合でも、基本は心配している症状の身体の科に受診することが大切と考えられます。
上記を踏まえ、当院では必要に応じて身体の科の受診を勧めさせていただくことがあります。
今回はパニック障害について説明させていただきました。
“パニック障害かも” “パニック発作、予期不安、広場恐怖で困っている” 等 悩んでおられる方は、「あきしのこころのクリニック」までお気軽にご相談ください。
著者:あきしのこころのクリニック 院長 秋篠 雄哉