尿道炎は非常にありふれた尿路感染症の一つで、クラミジアや淋菌による、いわゆる性病の一つとして一般的に知られています。
排尿の時に痛みや違和感があるとか、灼熱感があるとか、不快感があるなどの表現を皆さんお話されることが多いです。また、特に淋病の場合に目立つのですが、外尿道口から、膿がでてくることもしばしばあります。また尿道炎は、クラミジア尿道炎や淋菌性尿道炎以外にも、マイコプラズマの一部も原因として多く、他にトリコモナスなどの原虫と呼ばれる病原体によるものもしばしばみられます。
性行為や、オーラルセックスや、体液など介した接触にて感染が広がる可能性があります。そして、尿道だけではなく、咽頭や結膜なども感染が起こる可能性がありますので注意してください。
クラミジア尿道炎は一番頻度が高く、尿道炎全体の半数以上を占めるといわれています。 若年の場合、特にクラミジアなどは症状もほぼなく保菌(女性は子宮頚部、男性は尿道などに)してしまって、無自覚のまま感染拡大に関与している症例もありますので特に留意しておくべき疾患です。
尿道炎は病原体にもよりますが、感染、接触から、1日~数日から、長いと10日~14日くらいで症状がでることが多いです。
前述した、排尿の違和感や痛み、尿道の排膿などの症状はとても大切です。またパートナーと同時感染も多いので同時加療することが、必要不可欠で、そうしなければお互いが移しあいっこする、ピンポン感染の状況になって、なかなか完治しにくくなります。
また症状が軽いといってもクラミジアなどは卵子の通過する卵管や、精子の通過する精管や精巣上体管などの閉塞を起こすこともあるので、不妊症の原因としても重要な疾患で治療をしっかりすべき病気なのです。
淋病は淋菌で起こる疾患ですが、薬剤耐性の淋菌も多いので、飲み薬だけではなく、効力の高い、点滴をおこなって治療することも標準的にあります。クラミジアよりも症状が強いことも多いですが、最近の臨床現場では、クラミジアと淋病の症状での判別がむつかしい症例も少なくはありませんし、両者の同時感染者もしばしばあります。
大切なことは、尿道炎は、きちんと治療して完治する病気でありますので、気になる症状があれば遠慮なく受診してください、ということあります。
当院では性病については、大変多くの患者さんが来院されます。クラミジア尿道炎、淋菌性尿道炎、はじめ梅毒感染、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなど各種主な性病の患者さんが受診され治療を受けておられます。
性病の関連の場合、多少羞恥心もあって、医療機関に受診することは勇気が必要かもしれませんが、悩んで放置しても改善はしません。我々医療機関は守秘義務をしっかり順守して、皆様が安心して治療が受けられるように尽力しています。是非気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。
著者:医療法人男健会 北村クリニック 院長 北村 健