「痔」について-京都 四条駅すぐの肛門外科・外科

おしりの病気「痔」についてのお話し

消化器外科・大腸 肛門外科・外科
大垣クリニック
大垣 雅晴 院長

おしりの病気「痔」について、これから3回に分けてお話しをしていこうと思います。

第1話は、「痔」についての一般的なお話しを、第2話目で「痔」の実際の病気について、そして第3話で「痔」の治療についてをお話しいたします。

第1話「痔」についての一般的なお話し

 痔について イラスト健康的な生活にとって、「快眠」「快食」は欠かせないものですが、同時に「快便」もとても大事なことなのです。

健康診断はこれらがうまくいっているか聞くところから始めます。ところが、睡眠や食事については人に話せても、排便については人知れず悩まれることがとても多いのが実情です。

便秘や下痢、腹痛、血便、便もれなどで悩んでおられる方は今これを読まれている方にたくさんおられるのではないでしょうか。そしてその原因の一つにおしりの病気「痔」があります。

 

 「痔」は恥ずかしいものと思って、人知れずに悩まれておられる方が多いのですが、先ず知っておいてもらいたいのは、「痔」は特別なものではなくとてもありふれた病気であるということです。

実際の数を把握することは難しいところですが、成人の3割以上、実際には5割はいるのではと思われます。

 

 何故こんなにもたくさんの方が「痔」を持っておられるかということですが、「痔」は直立歩行を始めた人間の宿命であると考えられます。

心臓と肛門がほぼ同じ高さの四足歩行の動物にくらべ、人間の肛門は心臓からずっと離れた下の方に位置するようになったため、肛門の静脈にとても大きな圧力がかかり、大きな負担を常に強いることになってしまうのです。

 

 それに加え、現代人はさらに肛門に負担のかかる生活が多くなっています。

胃や腸はこころと直結しています。ストレスがすぐに排便に影響します。

運動不足や長時間座っていたり、同じ姿勢でいることは肛門に大きな負担がかかります。便意をもよおしてもいつでも排便できるとは限らず排便をがまんしてしまうこともよくありません。食生活の乱れも快便を乱し、痔を助長します。アルコールも同様です。

実際に排便時の痛みや出血などの症状が現れてしまうと、排便時の恐怖から便秘やいきみから、さらに痔が悪くなるという悪循環に入ります。

 

 「痔」を相談すること、診てもらうことは抵抗があると思いますが、「痔」を長くわずらうほど肛門機能が低下してもどりにくくなりますし、「痔」だと思っているものに少なからず癌(がん)などの病気が隠れていることもあります。

少しでもおしりや排便に気になることのある方は、ほんの少し勇気を持って専門の医師に相談されることをおすすめします。

第2話「痔」の実際の病気について

第1話は、「痔」についての一般的なお話しをさせていただきました。第2話目では「痔」の実際の病気についてお話し致します。

第3話で「痔」の治療についてをお話ししていきたいと考えています。

 

 おしりの症状として、肛門の痛み、出血、ふくらみ、かゆみ、排便しにくい、便が細い、などがあり、そうしたことが起こると痔になったかなと思われるのではないでしょうか。

肛門は出口付近が痛みを感じやすい部分で、奥の方になると痛みは感じにくくなっています。 痛みがある場合は出口付近に痔があり、痛みがあまりなく出血があるときはもう少し奥の方に痔がある場合が多いと考えてください。

 

痔の実際の病気には、代表的なものに「痔核」(いぼ痔)、「裂肛」(切れ痔)、痔ろう(あな痔)があります。

 

「痔核」(いぼ痔)は、肛門クッションと呼ばれる血管の豊富な排便に大切な役割を果たしている組織が、損傷し異常に腫れた状態を言います。

排便時に出血しやすく、いぼが肛門の中から飛び出てきたり、肛門の外にいぼができたり、肛門の出口付近のものは痛みがあります。痔の中で最も多い病気です。

 

「裂肛」(切れ痔)は、肛門の出口付近が切れたり、裂けたりする病気です。便秘の方に多く、硬い便をしたときに起こり、排便時に痛みと出血を伴います。慢性化すると、肛門が硬く狭くなってしまい、さらに切れやすくなるという悪循環に陥ってしまうことがあります。

 

痔ろう(あな痔)は、肛門から入った細菌のために肛門の周囲に膿瘍(うみ)がたまり、うみが肛門周囲の出た後、トンネルが残った状態を言います。膿がたまっている状態を肛門周囲膿瘍といい非常に強い痛みがあります。一度できたトンネルは自然には治りにくく、おしりがべたついたり汚れたりする状態がずっと続きます。

 

 痔は、どれも慢性化させると、治りにくくなったり、さらにさまざまな症状を起こしたりすることがあります。

排便はこれから一生続くことで、快便であるということは健康的な生活の大きな部分を占めます。

今回お話しした症状がある方は、一人で悩まずに専門の医師に相談されることをおすすめします。

第3話「痔」の治療について

おしりの病気「痔」についてを、2回に分けてお話しをしてきました。第1話は、「痔」についての一般的なお話しを、第2話で「痔」の実際の病気について、そして今回第3話は「痔」の治療についてをお話しします。

 

痔の実際の病気には、代表的なものに「痔核」(いぼ痔)、「裂肛」(切れ痔)、痔ろう(あな痔)があります。

 

「痔核」(いぼ痔)の治療は、生活習慣の改善や薬物療法を行いますが、ある程度進行したものには、手術やゴム輪結紮、注射による硬化療法が必要となってきます。それぞれの治療法に長所と短所があります。

 

「裂肛」(切れ痔)の治療は、生活習慣の改善や薬物療法で治療可能なことが多いですが、肛門狭窄を来たし排便困難なものなどは手術治療が必要になります。

 

「痔ろう」(あな痔)の治療は、自然治癒することはまれなため、基本的には手術治療が必要となります。

手術を含め、治療方法については、その必要性、治療方法、治療をした場合に起こりうる合併症、などを専門の医師と十分に説明を聞き、納得のいくまで話し合ってください。また日帰り手術も可能となってきています。

最後に

おしりの悩みになると、恥ずかしいなどの心の抵抗や、痛い、怖いといった恐怖心が起こり、よほど悪くなってからでないとなかなか診察にいかないといったことが現実かと思います。当クリニックでは、毎日、おしりで悩まれるたくさんの患者さんが来られます。十分な配慮と、納得されるまでの十分な説明、そして日常生活に支障をきたすことなく、可能な限り苦痛のない治療を心がけています。高齢化社会を迎え、いくつになっても快適な排便が行えるように、精一杯のお手伝いをしたいと思っています。おしり痛みや違和感で、お困りの方は「大垣クリニック」までお気軽にご相談ください。

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