京都 四条駅すぐの 眼科クリニック

VOL.27

糖尿病網膜症

眼科

らくおう眼科クリニック
宮下 靖子 院長

はじめに

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症(糖尿病腎症、糖尿病神経症、糖尿病網膜症)のひとつで、我が国では成人の失明原因の上位として重要な疾患です。

網膜は眼球の内側にある薄い神経の膜で、ものを見るために重要な役割をしていて、カメラに例えると、フィルムに相当するところです。

外界から角膜、瞳孔、水晶体、硝子体を通ってきた光は、網膜の上にピントが合うように集められます。

目の構造のイメージイラスト

 

網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ、無数の細かい血管が張り巡らされています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したり詰まったりします。血管が詰まると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果酸素不足を補うために新しい血管(新生血管)が生えてきます。

この新生血管はもろいためすぐに出血を起こします。出血を繰り返すと、網膜に増殖膜が張ってきて、網膜剥離を起こすことがあります。大きな出血が起きるまではほぼ自覚症状がなく、見づらくなってしまってからでは手遅れになります。

糖尿病の診断を受けた方は目の症状がなくても、定期的に眼科を受診し眼底検査を受けるようにしましょう。

糖尿病の分類

糖尿病網膜症は進行の程度により大きく三段階に分類されます。

【単純糖尿病網膜症】

初期の段階で、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤(毛細血管瘤)や、小さな出血(点状・斑状出血)が出現します。

蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜にシミ(白斑)も出現します。これらは血糖のコントロールが良好になれば改善していくこともあります。

この時期は自覚症状がほぼないため、この段階で進行しないように定期的に診察をしていくことが視力を保つために重要となります。

【前増殖糖尿病網膜症】

単純糖尿病網膜症より一歩進行した状態です。細い網膜血管の閉塞が起こり、新生血管が発生してきます。

この状態でも自覚症状がないことがあります。進行を抑えるために網膜光凝固術を行う必要があります。

【増殖糖尿病網膜症】

糖尿病網膜症がかなり進行した状態で、硝子体出血や増殖膜が形成され、網膜剥離を起こしてしまいます。

自覚症状としては、かなり視力が低下してしまいます。この段階の治療には、硝子体手術が必要になります。

【1】単純糖尿病網膜症

自覚症状がない

血糖のコントロールで改善の可能性あり

【2】前増殖糖尿病網膜症

自覚症状がないこともある

進行を抑えるために網膜光凝固術を行う

【3】増殖糖尿病網膜症

視力の低下を感じる

硝子体手術が必要な場合も

糖尿病網膜症の治療

【網膜光凝固術】

レーザー治療を通院で行います。網膜症の進行具合によって、レーザーの照射数や照射範囲が異なります。

網膜光凝固術は主に網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、すでに出現している新生血管を減らすために行いますが、網膜にレーザーを照射するため、元の正常な網膜には戻れません。レーザーをしなければ、悪化し失明してしまうのを防ぐためにやむを得ず行う治療です。

網膜光凝固術のイメージイラスト

【硝子体手術】

レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して硝子体出血や網膜剥離が起きてしまっている場合に対して行われます。1~2週間の入院が必要になります。

硝子体手術のイメージイラスト

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